2010/05/25

なぜ女は昇進を拒むのか




タイトルもそうだが、第3章が理工系キャリアを離脱する女性たち

というのがまさに引っかかり、読んでみた。

なぜ女は昇進に関心がないのか、なぜ、キャリアの大事なときに転職したくなるのか、転職といってもキャリアアップ転職ではなく、違う道を選ぶ、キャリアやり直し転職のような、一般的には自ら不利になる道を選ぶようなキャリアチェンジを選ぶパターンが多いのに気が付いていた。

それをまさにホルモンの性差、脳の性差といった科学的切り口で向き合った本だった。

やっぱりホルモンの違いが関係していたのか

という面では、それほど驚くことでもないし、そりゃそうだろうという程度のことだが

学校時代は問題が多く、成績も全体の平均では女子に負け、それほど優秀ではなかった男子が、いつの間にか収入では、あるいは社会的地位では気が付くと男性優位の状態になっているのはなぜなのか?

という疑問はだいぶ納得がいった。

やはりひとつには、今の社会は男性的思考の社会が構築されているから、学校の成績とはうらはらに、男性が自然と優位に立ちやすいシステムになっているのだ。

本にも書いてあるように、自然と女性が望むキャリアは、収入や社会的地位が低い。女性がそういう職を選ぶのではなく、女性が本質的に求める職種は社会システムとして低く設定されているのだ。

その結果、自分の心が満たされる仕事を選ぶと、収入や社会的地位は捨てなければならなくなる、あるいは望めない。周囲の(男性が作った社会の)価値観という視点で選ぶ収入や社会的地位の高い仕事、職務を周りの期待に答えてがんばればがんばるほど心は虚しくなる。
というジレンマに陥る。

私は本に書いてあること以上に生物学的要素がもっともっとあると思う。

垂直思考 vs. 水平思考

ライフバランス(ライフワークバランスを超えた、仕事とその他という分け方だけでない、ライフ全般のバランス)の捕らえ方、価値、意味の性差

「仕事をする」ということに対する概念自体の性差

そして、今起こっている現象・・・男女雇用機会均等法が施工されて10年経ち・・・職業、キャリアの面で女性に起こっている現象・・・
は、アメリカのみならず日本でもその矛盾、葛藤を抱えたエネルギーの渦が女性たちを触発しているのだと思う。

「何か違う!」

と顕在意識下又は潜在意識で強く思っている人は(かなり多くの人が該当しそうだが)、今の社会の集合意識にあるそのエネルギーに突き動かされているだと思う。

女性型頭脳型の職業的・経済的成功パターン

女性的生き方のままで社会的にも経済的にも成功できるシステム

現在の男性型社会システムの中に別カテゴリーとしてそのもうひとつのパターン、システムが世の中に必要なのではないか。

著者も言うとおり、
ある意味、今のシステムで”男女雇用機会均等”と社会に適応させられることそのものが性差別になっている、なっていた!

ということへの気づき。

原文タイトルでもあるパラドックスであるのだ。

0 件のコメント: